雑記

またバイクに乗りたくなった日の話

事の起こりは昨年末までさかのぼる。 暇に持て余した深夜に、Youtubeで久しぶりに、ユアンマクレガーの「Long way round」を見ていたら、ああ、バイクに乗りたいと思ってしまった。 セローを手放してから、かれこれ5年が経過していたのであるが、乗りたくな…

お化けの実在に関する文献 - 3

(前回のお話) 身近につきまとう不気味な影を意識するようになってから数日がたった。部屋で何の気なしに過ごしていたわたしは、ふと目をやった天井近くの壁に、一点のシミのようなものを見つけた。はて、あんなところを汚した記憶はない。そう考えながら視…

お化けの実在に関する文献 - 2

(前回のお話) 二つの物体を捉えたわたしの意識には、乱れた髪の女と鳥の死骸が浮かんできた。それが何を意味するのかまでははっきりしないものの、気味が悪くなったので足早にその場をあとにする。 ひょっとしたら付いてきているかもしれない・・・ エレベ…

お化けの実在に関する文献 - 1

『はじめに言わせてもらいたいことは、わたしはお化けの実在を信じる人間である。しかし同時に、実在しないお化けが存在することも信じている人間だということである。』 わたしの住んでいるマンションは、自転車置場が出入口とは反対側にあるので、別の通路…

商売とは

通勤で使う駅を降りてしばらく歩くと、こじんまりとした商店街にぶつかる。 和菓子屋では、自家製あんこが売ってたり、八百屋では、軒先のぬか漬けがうまそうだったり、タバコ屋では、おばさんの染めた髪の毛とかけてるメガネが、おなじ色のグラデーションだ…

答えが見つからない人のためのお話

わたしには、ここ数年ずっと頭に引っかかっていた問題がありました。それは、奈良にある室生寺という山あいのお寺をたずねたときのこと。境内で奇妙な看板を目にしたのです。 SANPAIZYUNROという言葉に、私の目はくぎ付けとなりました。 神秘的な山中に、お…

うまいめしを食べるを考える

めしを食うというのは、集中すればするほどにうまいものである。 これは読書や映画なんかと一緒で、ほかのことに気をとられていたのでは、おちおち味も楽しめない。 ところが、現代人には時間が足りないので、いそがしいときなどは、めしがただただ腹をいっ…

マテヤの掃除

数年前に実家にある蔵の掃除を手伝うことになった。 この地域では、蔵のことを「まてや」と呼んでいる。どういう意味なのかはわからないが、子どものころから耳にしているので通じるのである。 「仕舞っておく部屋」という意味で使っているのか。長年使って…

ヤンチャ坂

今週のお題「2013年、夏の思い出」 ギョクレンの故郷にヤンチャ坂とよばれる非常に急な坂がある。ヤンチャとはあのヤンチャ坊主のことを言っているのである。かつて、といっても、どれくらい前のことかわからない。とにかくずっと昔そこの付近にどうにも手の…

下り列車

「一番線ドア、閉まりまーす」 駅員の呼びかけと発車メロディがホームに響きわたるなか、三人の女性が列車に乗り込んできた。三人を受け入れると間もなくドアは閉まり、ゆっくり列車が動き出した。女性たちはすぐ脇の空いている座席に腰かけた。 席に座るや…

東京動物記

道を歩いていたら路地裏でカラスが地面をつついている。何をしているのかと目をこらしてみると、そばにヒキガエルが這っていた。 このあたりにヒキガエルがいることは知っていた。雨の日のあとに一度だけ目にしたことがあったのだが、そのときのカエルなのか…

ほんのおまけ

今週のお題「最近あった良いこと」 神保町の軒先で、一冊100円のワゴンのなかからフィールディングの「トムジョウンズ」を見つけた。全四巻を手に取って店のなかに入り店主にわたす。 「カバーつけましょうか」 「カバーはいらないです」 「本当にいいんです…

書棚のなか

神保町の道ばたでラックに並んだ本を見ていたとき、宮沢賢治の文庫本を偶然手に取った。たしか「銀河鉄道の夜」がはいった岩波の短編集だったと思う。 なにげなくパラパラめくっていくと、最後のページにペンで署名がありその横には 「45年1月 成人の記念…