(前回のお話) 「お、おれだって、金もってないんだよ」 私の耳に切実な叫びが届いた。 声の方角に目をやると、女子高生のすぐそばに、腰の引けた中年サラリーマンが立っていた。そのサラリーマンと向き合うようにして、一人のバンドメンバーがとまどいの表…
下北沢の改札口を抜けると、通りから小気味の良い音楽が聞こえてきた。 音のほうへ目を向けると四人組のバンドが路上で演奏を披露している。ジャズをベースにしたグルーヴィーな演奏は、通りの注意を惹きつけるには十分な腕前で、すでに大きな聴衆の輪が四人…
引用をストックしました
引用するにはまずログインしてください
引用をストックできませんでした。再度お試しください
限定公開記事のため引用できません。