このムルティプラは、整備から戻ってきてタイヤを新品に交換してからは、生まれ変わったように好調を維持している。
たまに、道路の段差を超えるときに、怪しげな金属音が「カタカタ」と鳴ったり、アイドリングが暴走して3000回転くらいまで上がったりすることはあるが、それくらいは気にせずに走っていた。
2月のある寒い日の夜、久しぶりに首都高でも一周しようかと思って、夜のドライブに出かけると、水温計がレベル1からまったく上がらないことに気が付いた。外気温は1℃と表示されている。
夏場はこれでもかというくらい、レベル5まで上がっていたのに、寒くなったらレベル1から動かなくなるとは、なんとまあ気候に従順なクルマなんだろう。
家に帰って調べてみると、オーバークールという症状に近い。
それから一週間ほどして、成田の方まで用事があって、早朝から高速を走らせることになった。
外気温はやはり1~2℃くらいで、今度は首都高を走行したときの倍近い距離の、60キロを高速で走ることになる。
やっぱり水温が上がらないなあと思いながら、ラジエーターに必要以上に風を当てないように、90キロほどで大人しく走っていたのだが、とうとうピーッという警告音とともに、エンジン警告灯が点灯してしまった。
液晶には、CONTACT GRAGAGEと表示されている。
そんなこと言われても、ガレージの人は暇じゃないので、そうそう簡単にコンタクトできるものではない。
運転しながら、ムルティプラの状態を注意深く観察してみたが、ボンネットから煙が出るわけでもないし、エンジンの音やアクセルを踏んだ感じも、いつもと変わらない。
きっとこれがオーバークールの警告なんだろうと判断し、そのまま優しく走行することにした。
一般道に下りれば、そのうち警告が消えるだろうと思ったが、なかなか消えない。
お昼くらいに外気温が上がってきたら、ようやく警告灯は消えたのである。
オーバークールには、ラジエーターを段ボールで塞ぐのが効果的らしいので、さっそく試してみた。
1つではちょっと心許ないし、見た目のバランスも悪いので、ナンバープレートの左右に位置するように、同じサイズで2つ挿入してみる。
その甲斐あってか、帰りの高速では、もう警告灯が出ることはなかったので、お守り代わりに、暖かくなるまで段ボールを付けっぱなしにすることに決めた。
しかし、夏はレベル5、冬はレベル1の水温というのは、明らかにサーモスタットがおかしい気がする。
次回の整備時の交換項目にしなければ。