6月28日あたりにS店に整備に預けたきり、ムルティプラは戻ってこない。
この夏は身辺がいろいろと多忙だったので、整備の進捗などもほとんど聞くこともないままに、時間が過ぎていき、いつしかムルティプラは、いないのが当たり前の状況になっていた。
忘れられるのも無理はない。このクルマを購入してから1年と3か月が経つのだが、約半分の期間は整備に預けている。
まともに動いていたのは、今年の冬の1~2月の間くらいで、あとはだいたい異音を発しているか、オイルが漏れているか、すぐにエンストするかで、おっかなびっくり走っている状況であった。
古い車を買って、乗るよりも修理している期間のほうが長いなんて話は、耳にしていたが、まさか自分がそうなるとは思いもしなかった。
そのうち本当にムルティプラが必要なのかもわからなくなり、もうこのまま戻ってこないで、無かったことにしても良いかな・・・などと思ったりもしていた。
そんな折、夏に友人たちと3家族でキャンプに行ったときのことである。
すでに前回、エグザンティアの話で、BMWに乗っている友人の話をしたが、もう一人は、フォルクスワーゲンのT-Crossに乗ってきた。
新車で納車したばかりのピカピカなT-Crossを見た私の息子は、「なんかカッコいいクルマだねー」と近づいていく。
なんと、こんな4歳の子供の心までわしづかみにするとは、SUVブーム恐るべし・・・と思っていると、息子は不意に私の方を振り向いてこう言った。
「でも、ウチにも同じようなクルマあるもんね。青イルカは修理に出してるけど、戻ってくるよね」
まさか、青イルカ・・・息子はムルティプラを忘れてはいなかったのだ。
これで私の目は覚めた。息子が待っているのなら、無かったことにするわけにはいかない。
それにここでやめたら、今まで色々頑張って手を入れたことも、すべて無駄になってしまうではないか。
今度こそ、ムルティプラが、復活してくれることを期待しよう。
ということで、整備の進捗を聞くべく、S店に電話したのであった。