エグザンティアを置いている月極駐車場には、隣にとても大きなBMWが停まっている。BMWの何シリーズなのかは、さっぱりわからないが、とにかく大きくてピカピカで、高級車の風格は十分に伝わってくる。
1年ほど前から隣に停まっており、運転する姿をたびたび見かけることはあったが、これまで駐車場ですれ違う機会はなかった。
ある日、エグザンティアを停めて車外に出ると、ちょうど向こうから、そのBMWの人が犬を散歩させて歩いてくるのが見えた。せっかくなので、すれ違いざまに挨拶をすると、相手もにこやかに挨拶を返してくれる。
そして、予想だにしない一言を付け加えてきたのである。
「エグザンティア良いですね~。乗り心地も良いでしょう?」
まさか、こんな立派なBMWに乗っている人が、エグザンティアなんて、口にするなんて。
私はまだ相手の言葉を信じることができなかった。
「え、ご存じなんですか?」
「ええ。私も、以前はXMに乗っていたんですよ。でも故障が続いて、維持できなくなりまして。だから、今でもこんなきれいなエグザンティアを、大切に維持できているのを見て、羨ましいなあと思っていたんです」
羨ましいだなんて、普通に見れば、BMWのほうが何倍も羨ましいはずである。
だが、この人の言葉には皮肉めいたものは何一つ感じない。むしろ、ハイドロシトロエンの魅力を知る者同士の、心通じるものがあったのである。
と、前置きが長くなったが、こんなことがあって、
「このエグザンティアは私だけのものではなく、シトロエンを愛する人たちの希望でもあるのかもしれない」
と勝手な思い込みを心に宿し、頑張って維持していこうと改めて思った次第である。
そこで気になったのが、「こんなきれいな」という言葉。遠目からだとまだいいが、近くで見るとシミだらけで、きれいとは程遠い。
やっぱり、エグザンティアファンのためにも、この状態はなんとかしたい。
そこで、もう一度シミ取りについて調べてみた。そして、VOODOORIDEのSILQという商品がものすごく評価が高く、これならいけるかもしれない。さっそく購入して試してみることに。
説明通りの手順でやってみたところ、ウェスには茶色い汚れのようなものが付着して、何かが除去されているようである。
だが、このエグザンティアのシミには、まったく効果はなかった。
しかも、撥水ではなく、疎水をうたっている割に、雨が降ったら普通に弾いてしまっている。雨くらいの水圧だと水が流れずに、普通に弾くのだろう。
雨でもスーッと水が流れるもんだと思って購入しただけに、まったく期待外れのワックスとなってしまった。
残念だが、ボディのシミはしばらく放っておくしかない。