3月くらいから、エンジンをかけるとエグザンティアがキュルキュルと鳴くようになった。
いや、3月になって窓を開ける機会が増えて気がついただけで、実際はもっと前から鳴っていたのかもしれないが、とにかくベルトらしきものがキュルキュルと言うのである。
10分くらい走っていると、いつの間にか消えてしまうので、寒くてベルトが縮んだんだろうと、あまり気にせずに過ごしていた。
ところが、暖かくなっても鳴きはいっこうに止む気配はない。
ベルトとプーリーのダンパーは、納車整備の際に新品に変えてもらっているので、劣化しているはずはないのだが、、、とボンネットを開けてみると、やっぱり新品である。
しかし、そのすぐわきに、黒いカスのようなものがある。
指でなぞるときれいに取れるので、ゴムがこすれてカスが飛び散っているのではなかろうか。。。
音だけなら別段気にもしないのだが、ゴムが切れたらたまらないので、まずは電話で甘木さんに相談する。
「10分くらいで消えるなら、そんな重大な問題じゃないよ」
と気楽な返事が来たので安心したのだが、ゴムカスの件もあったので、一度見てもらうことにした。
工場に到着したころには10分以上走っているので、もちろんキュルキュル音はしない。
甘木さんはボンネットを開けて、少しだけ中を見ると、
「これはゴムのカスじゃないよ」
と笑い、奥のほうに消えて、金属の車輪のようなものを持ってきた。
「このプーリーっていうのがちょっと古くなっているね。これは交換してないから。でもこれくらいの症状なら、もう少し様子見てもいいんじゃないかな」
それを聞いたら一安心。10分くらいベルトがキュルキュル鳴くのなんて、まったく気にもならないので、交換は先に延ばすことにした。
「他は調子はどうだい?」
と甘木さん。
「半年くらい乗ってると、さらに馴染んできたのか、もう、最高の乗り心地ですね。癒されます」
甘木さんはそれを聞いて満足そうに見送ってくれた。
しかし、結局あの黒いカスはなんなのかは、聞きそびれてしまった。