次のクルマはシトロエンに決めた話

プジョー308SWを手放すことを決心する前から、次のクルマはシトロエンにすることは決めていた。

理由はなんてことはない、普段から整備でお世話になっている近所の甘木自動車さんがオールドシトロエンの専門ショップだったからである。

とはいえ私はこれまでまったくと言っていいほどクルマには興味はなく、シトロエンといえば、かまやつひろしの「ゴロワーズというたばこを吸ったことがあるかい~」という歌に出てくる

「そうさマリーアントワネットもシトロエンの馬車に乗って~」

というフレーズくらいしか思い浮かばなかった。

それが毎年甘木さんのところを訪れているうちに、なんかカッコいいと魅了されていったのである。

前回の車検のとき、私はそんな淡い希望を甘木さんの前で言葉にした。

「やっぱり、維持は大変ですかね?」

「パーツさえある車を選べば、そんなに大変じゃないですよ」

それを聞いて、私の心は決まったのである。

 

エアコンの高額見積もりを目にして私は即座にシトロエンへの乗り換えを口にする。

「そうか、じゃあ何がいいんだろうね~」

そう言われた私は返答に窮した。あまりにもシトロエンについて知らなかったのである。

そんなとき、事務所の目の前に一台の赤いBXが停まっていた。甘木さんは視線がそこに移ったのを感じて続ける。

「さいきん、BXもよく出るんだよ。これも今日納車なの。みんなやっぱり今の車は物足りないのかな」

このBXを目にした私は、かつて学生の頃に乗っていて、デザインがお気に入りだったマツダのアスティナを思い出した。

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こう並べてみるとそれほど似ていないのだが、手ごろなサイズ感のヨーロッパ的デザインハッチバックという意味では、まったくかけ離れているわけでもない。

「BXいいですね」

と顔をほころばせると

「もう一台あるよ」

甘木さんもにやりと口をゆるめた。