我が家でのムルティプラの実用性について考える話

ムルティプラがいなくなって8か月が過ぎているが、その間でも私はこのクルマの復活を信じて、いつかまたハンドルを握れる日が来るということを信じていた。

しかし、エグザンティアがレッカーされ、きっちりと戻ってきた帰り道に、ムルティプラのことを考えたとき、私の頭の中で、一番最初にお店にムルティプラを見せに行った時の記憶が浮かんできたのである。

「この年式のクルマをウチで見るとしたら、私か社長しかいないでしょうね」

そう言ったのは当時の整備担当の方であるが、その人はとっくにお店を辞めていて、その言葉通りに、今回のトラブルは社長の担当になっている。

しかし、社長はとてもお忙しい方なので、なかなか手を付けられていない。

ほかの整備の方たちも腕は確かなのだが、比較的新しい年式の、アルファロメオアバルトが専門である。

私はここで、やっと気が付いた。

「ああ、、、預けるお店を間違えている」

3年前とは状況が変わったことに、私の認識が追い付いていなかった。

いくら評判が良くても、今やまったくジャンル違いのお店となったところに、ムルティプラを預けたところで、期待する結果なんて得られるはずはないのである。

 

自分の過ちに気が付いて、すぐに行動を起こそうと決心した。

最後に聞いたムルティプラの状況は、スロットルボディを交換して、エンジンがかかるようになったが、たまに走行中にエンストする。

その状況で、お店から引き揚げて、あとは自分でMAPセンサーを交換してみることにしよう。

さっそくお店に電話をし、現状で引き取る意思を伝えた。

 

その夜に家族にムルティプラの話をすると、またここでも状況が変わっていたことに気が付いた。

妻も子供も、私ほどにムルティプラの復活を待ち焦がれてはいなかったのである。

購入当初は、3人で前席に座ってドライブを楽しんでいたのだが、そのうち子供は前の席は車酔いをすると言い始めて、乗らなくなった。

そうなると、妻も一緒に後ろに座るので、もはやムルティプラの最大のウリである前席3人掛けの魅力は消え去った。

 

なんの、それ以外にも大人6人がゆったりと座れるスペースという魅力があるではないか。

ムルティプラが戻ってきたとして、6人乗る機会といえば、子供のサッカーの送り迎えである。

その場合、私と息子に加えて、幼稚園のお友達の2家族を乗せることが多くなりそうなのだが、どちらもママが送り迎えを担当している。

子供3人は仲良しなので、絶対に後ろに並んで座りたいと言ってくるはず。

そうなると、前の3席は、私・ママ1・ママ2の組み合わせにならざるを得ない。

これはどう考えても微妙な席配置である。。。

 

今の我が家では、ムルティプラのファミリーカーとしての実用性を生かせる機会がなくなってしまい、単なる壊れやすいイタリア車という立ち位置と化してしまった。

 

それでも、マニュアル操作で、シフトチェンジもハンドリングも反応が良く、運転していて楽しい車なんだから、見た目も含めてその存在は唯一無二なのだ。

 

だが、それは趣味のクルマとしての評価である。趣味と実用性を兼ねたクルマなら、我が家にはすでにエグザンティアがいる。

エグザンティアムルティプラ、どちらかを選ばなければいけないとなると、おのずと答えは決まってしまうのである。

 

でも、これまで3年間、手間とお金をかけて維持してきたのだから、、、

悩みに悩んで葛藤したすえに、ある決断にたどりついた。

 

「お店から引き取って、MAPセンサーを変えて、その帰り道に一度でもエンストをしたら、ムルティプラを手放そう」