ここのムルティプラに決めた話

シトロエンの仙人がいるお店に来たことですっかり満足し、危うく本来の目的を忘れるところだったのだが、話題を戻して在庫車両のムルティプラを見せてもらうことにする。

今回ムルティプラを購入するにあたり、必ずチェックしたい項目は以下の3点であった。

  • シートおよび内装の劣化具合
  • サンルーフ付きの場合は、雨漏りした形跡があるか
  • 整備簿の内容

シートおよび内装の劣化具合

シートは、サイトの写真うつりが悪すぎたので正直期待していなかったのだが、写真で見るよりも、はるかにきれいである。

内装のベタベタもほとんど気にならず、ステアリングに付いているオーディオのリモコンボタンが汚いくらいであった。

ドアハンドル部分の劣化は、しかたがない。

サンルーフ

天井には特に雨漏りのシミ等は見当たらない。

整備簿

これについては、こちらが聞く前にお店の方から、

「困ったことは整備簿がなくて、どこを交換しているのかがわからないので、怪しいところはすべて交換してお渡しします」

とのことである。すでに、ここに来た時にラジエーターから漏れていたので対処済みだということである。

 整備簿が見られなかったのは残念だが、すべてチェックしてくれるのであれば問題ないのかもしれない。

 

「エンジンかけてみましょうか」

というのでお願いする。しかし、鍵を回してもキュルキュル言うだけですぐにはかからない。

「おかしいね。昨日はかかったんだけど」

と言いながら回していると、エンジンがかかる。すると「キュルキュル」と猛烈なベルト鳴きが聞こえてきた。

エグザンティアだけでなく、コイツもか・・・。

「ベルト鳴いてますね」

「ええ、なんにせよ、ここも含めて、整備してお渡ししますので」

 

エンジンをかけた状態では、不安だらけである。しかし整備前のクルマなんて、こんなものなのかもしれない。

視線を遠くに移すと、シトロエンCXの前でなにやら話している2人の男性がいる。1人が運転席に乗り込むと、ムクッと車高が立ち上がった。CXってあんなにすっと車高が上がるのか。はじめて目にした光景に感心してしまった。

そうなのである。このムルティプラを診るのは、シトロエンの仙人なのである。日頃からDSやCX、BXを整備しているのだから、ムルティプラだって任せて安心なはずだ。

万一、万一ハズレの個体だったとしても、中古車サイトで掲載されている、ほかの前期型ムルティプラの相場よりもかなり安い。悔しいけれど仕方なかったと納得できるギリギリの価格である。

しかし、ハズレの個体かもしれないなどという、不確定な未来を悲観するよりも、自分の目ではっきりと確認したこのお店を信じてみよう、と覚悟は決まったのである。