いつからこうだったのかは、思い出せないが、気が付いたころには、エグザンティアのボンネットと屋根に、雨ジミのようなものが無数に付いていた。
洗車に対してあまりマメではないので、たまにガソリンスタンドの洗車機に入れて、あとはフクピカで拭いているだけである。
納車の時はもう少しきれいだったような気もするのだが、2年以上も屋外駐車場に置いていた結果、こうなってしまったのだろうか。
一見すると水滴に混じった土埃が乾燥したようでもあるが、これがフクピカで拭いても、まったく落ちない。
もう少し強力なものはないかと探して、ソフト99「水アカストロングクリア」というスプレーを買って試してみたが、これも効果がなかった。
これ以上は自分では手の打ちようもないので、洗車好きの友人に相談してみると、酸性ケミカルなら落ちるんじゃないかとのこと。
ということで、休みの日に実家のある千葉まで赴き、洗車場で友人と落ち合うことに。
この洗車場、入場料があるわけではないのだが、管理人さんがいる。
まずは洗車機に入れようとすると、管理人さんが近づいてきて、使い方を案内してくれた。
「エグザンティアですね」
洗車機に入れている間は、車外に出て待っていたのだが、管理人さんは、洗われているクルマをまじまじと見つめ、話しかけてきた。
「私、当時エグザンティアに乗りたかったんですよ。この20年で初めてじゃないかな。この洗車場に来てくれたのは」
管理人さんが嬉しそうに語るのを見て、こちらもなんだか贈り物をしたような気持ちになった。
さて、友人が持参したのは、Ganbassという有名どころの酸性ケミカルであった。
「これなら落ちるはず!」と期待を込めて屋根に塗ってみたのだが、エグザンティアのシミにはまったく歯が立たず、消えるどころが、薄くなることすらなかった。
別の場所、たとえばリアのプレート周りの黒ズミは、すっきりと落ちてピカピカになったので、ケミカル自体に効果はあるのだろう。
このケミカルで効果がないのなら、あとは業者に磨いてもらうしかないのかもしれない。
しかし、そこまでやるほど、ボディに対する情熱もなければ、予算もないので、とりあえず放置することにした。
少し離れて見れば、まったく目立たないのだから、あまり気にしてもしょうがない。
最後に管理人さんの思い出になればと、ハイドロレバーで車高の上げ下げを見せてあげ、洗車場を後にしたのである。