このムルティプラも購入から2年が経ち、いよいよ車検の時期がやってきた。
思えば納車直後からの1年は、不具合連続の地獄のような日々を味わい、何度も心が折れそうになったものである。
その後、2回にわたる大掛かりな整備をしてからは、ようやく我慢の日々が報われて、快調を維持して楽しく走らせることができている。
これも自分なりに情報と部品を集めてきたことと、信頼できる整備のお店と出会えたことによるものであろう。
今回の車検に当たっては、気になる箇所は特にないのだが、あえて挙げるとすれば、以下の点である。
・水温計が高め(ときたま目盛りが5~6になる)
=冬の間のオーバークールは改善したので、あとは夏にオーバーヒートしなければ、個性と割り切る
・始動してしばらく走らせていると、クラッチ切ったときにエンストする
=3か月に一回くらいで発生するだけなので、個性と割り切る
・アイドリングがたまに高くなる
=スロットルボディ交換後は、それほどひどくないので、個性と割り切る
この辺はささいなことなので、取り立てて何かしてもらうつもりはないのだが、そういえば、ガソリン満タンにすると、ホイールハウスのパネルの隙間からガソリンが漏れてくることを思い出した。
満タンにしなければ大丈夫なのだが、念のためガソリン漏れがないかだけは、見てもらうことにしよう。
車検整備はいつもお世話になっているS店に依頼。4月の上旬に予約を取り、5月末に預けに行くことになった。
車検に向けて、ワイパーぐらいは自分で交換することに。
ムルティプラ対応のエアロタイプで、なるべく安価なものを選んで取り付けたが、拭き取りは良い感じである。
さて予約日当時を迎えS店を訪問した。
アルファロメオとアバルトばかりが集まるお店なので、そこにムルティプラで行くのは、なんとも場違いな感じがして、毎回落ち着かないのであるが、ここで見てもらうのがベストだと思っているのだから、そんなことは言ってられない。
事務所で一通りの説明をして、そそくさと帰ろうと外に出ると、初めて見る年配の整備士の方が、ムルティプラの前に立っている。
こちらに気づくと、ルーフを指さして、
「だいぶ剥げちゃってますね。まあ、ムルティプラは、みんなこうなっちゃうんですけどね」
と話しかけてきた。
なんと!S店のスタッフの方はムルティプラを触るのが初めての人ばかりだったのに、このベテランの方は、もう何度もムルティプラを見てきたような口ぶりである。
「ムルティプラ、ご存知なんですか?
「まあねえ、前の職場でずいぶんと手こずらされたからねえ」
にやにやしながらそう答える姿を見て、この場違いの雰囲気から一転、私は急に理解者に巡り合えたような親しみを感じてしまった。
ただでさえ信頼できるお店なのに、ムルティプラを知っている整備士さんまでいるなんて、もう鬼に金棒ではないか!
これで安心して帰れると、挨拶してその場を離れようとすると、
「ぱっと見で、ちょっと1点だけ気になるんだよなあ」
とヘッドライトを指さした。
そうだ。すっかり頭から抜けてしまっていたが、このムルティプラは、左Hiのヘッドライトの水滴問題を抱えていたのである。
「もしかしたら、光量不足で車検通らないなんてことが起きるかもしれないんで、そうなったときには、また連絡しますので」
せっかく普通の状態に戻って走らせることができるまでになったのに。。
先行きに一抹の不安を抱えながら、お店をあとにしたのであった。