ぐずの生態

ギョクレンはねこを一匹買っている。名前をぐずという。
とくに書くべきものがなかったので、ぐずのことでも書くことにする。

ぐずは耳が効くらしく、ひとりで留守番していると、30メートルくらい離れていても、飼い主であるギョクレンの足音を聞き分けて、ニャーニャー鳴いている。
帰宅中に遠くから鳴き声が聞こえてくると、ギョクレンは安心する。
ところが、ふだんあまり履かない靴で出かけると、足音がわからないらしく、出迎えしないこともある。ギョクレンはそれはそれでものたりなく感じる。

アフラックのアヒルの人形をくわえて、そこらじゅうを「アオー、アオー」と鳴きながら歩き回ることもある。なにがしたいのかはわからないが、気に入ってるようなので、あの手この手でアフラックダックを探してきて、10匹ほど手に入れてやった。

帰宅するとベッドの片すみにアフラックが置かれている。いっしょに寝ているのだろう。また、べつのヤツがえさの脇にいることもある。いっしょにランチでも食べているのか・・・

自分の子どもかなんかだと思っているのかもしれないが、そのいっぽうで、くわえている途中でぞんざいに床に落としたりもする。そいつはそのまま放っておいて、ほかのヤツをくわえて移動しはじめる。けっきょくなんだと思っているのかは、いまだわからないままである。

ヒトの足にむかって体をすりすりしてくる。とくに足の指先がお気に入りで、しきりに耳のあたりや胴体をこすりつけてくる。そんなに好きなら、足以外にもすり寄るのか試してみたくなった。

結果、IKEAで買った洋服の毛玉を取るコロコロローラーがいちばん気に入ったようである。あれでせなかやらおしりやらをコロコロしてやると、恍惚の表情をうかべている。

これがよっぽど気に入ったようで、それからというもの、洋服の毛玉を取ろうとすると目ざとく見つけて体をねじこんできてしまう。ほんらいの用途には使えなくなってしまったので、よけいなことをするもんじゃないなと、ギョクレンはすこし後悔した。