ギョクレンのあまちゃん

お伊勢参りに出かけたギョクレンは、旅の途中で相差(おおさつ)という名の港町に宿泊した。どうしてこの町に宿をとったのか、ギョクレンは忘れてしまった。
おそらく伊勢海老が食べたかったくらいの理由であろう。

相差については、まったく下調べをしていなかったのだが、着いてみてはじめて、日本でも有数の海女の町として有名であることを知った。

湾の堤防にはいくつかの海女小屋を見ることができ、港の中心には海女さんが海産物をふるまってくれる、それこそ海女カフェのような施設もあった。
ただ、訪れたのが秋であったため、じっさいの姿は目にすることができなかった。

相差はとても小さな町である。潮の香りとさびれた港町のふんいきを味わいながらの散策はとても風情があるが、とり立ててこれといった見物があるわけではない。

だが、町のまんなかでギョクレンが目にした光景は、駐車場にとまる大型バスと、そこから降りてくるおおぜいの観光客らしき集団であった。
いったい何事かとガイドブックをのぞきこむ。バスの乗客のほとんどは女性である。ということは、オンナ心をそそりそうなものでなくてはいけない。と探していくと、海女のお守りというアイテムにぶつかった。

このまちの神社は古くから海女たちの信仰を集めていて、女性の願いをかなえてくれるということで人気に火がつき、お守りを求めて参拝者がわんさか押し寄せてくるというのである。

ギョクレン一行もうわさの神社「石神さん」へと向かうことにした。


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