ぐずや

ぐずの生態

ギョクレンはねこを一匹買っている。名前をぐずという。とくに書くべきものがなかったので、ぐずのことでも書くことにする。ぐずは耳が効くらしく、ひとりで留守番していると、30メートルくらい離れていても、飼い主であるギョクレンの足音を聞き分けて、ニ…

ぐずの嘔吐

ギョクレンは、子どものころからねこを飼っていたのだが、すべて田舎で放し飼いにしていたので、ねこの生態には詳しくない。ねこといえば、眠いときと腹が減ったときに家に帰ってくる存在であった。 しかし東京のマンションの4階に連れてきたからには、ぐず…

ぐずの誕生(その3)

(前回のおはなしはこちらから) こぶしひとつやっと入るくらいのすき間をうらめしそうに眺めるギョクレン。先の暗やみにむかってライトをむけてみるものの、ひと筋の光がむなしくとおるばかりであった。けっきょくクモの巣まみれの頭をうなだれながらはしご…

ぐずの誕生(その2)

(前回のおはなしはこちら) しらせを聞いたギョクレンは次の日仕事を終えるや実家へもどった。 さいきんでは、子ねこもずいぶん成長して自分で歩けるようになったのだという。母ねこがどこかへ連れていっても、自分の意思でよちよち勝手な方向へ歩いてしま…

ぐずの誕生

ギョクレン氏はねこを一匹飼っている。数年前に実家でねこが子どもを生んだので、一匹貰い受けたのである。 母ねこのムクは、はじめてのお産であった。いよいよ産まれる段になって、夜中にギョクレン氏の母親の布団の上にあがってきた。にゃーにゃー鳴いて、…